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エリアマーケティング 

地域性に対応のマーケティングを考える




人口流動の地方再生学』の主張

  著者によれば,今の地方の疲弊は,戦後はじまった集団就職列車により若者を大量に地方から都市へ送り込んだことに起点がある。すなわち多くの若者が都市に向かったために,地方では子供の数が急減し,高齢化と人口減少に向かっていった。それは,この国では戦後の復興を目指し,海外からライセンス生産として設備,技術,マニュアルをそっくりそのまま直輸入したが,これによる画一化,規格化をすすめ,大量生産体制を作ったことにその遠因があるというのである。

 これによって生じた過疎化の問題を,今度は地方への産業導入により解決しようとしたが,そこには地方の視点がなかったためにことごとく失敗したという。

 最近言われているコンパクトシティも,分散しているコミュニティーを中央に集めて効率的な都市を目指すという観点に立てば,地方に中心を作る考えに変わりはなく,必ずしもうまくいかないと断言している。

 以上の分析から,地方再生は農業の再生から始めるべきだと主張する。 その上で,表題にもある人口流動化がキーワードとなるとしている。


<内容紹介>  「発展なき成長」から地方発のイノベーション創発へ  p215~p217

 地方は,過疎化による人口減少や基幹産業たる農林業の不振を補うため,一九七〇年代からわれ先にと工業団地を造成し,製造業を中心に導入促進を図ってきた。しかし,「発展なき成長」とはまさにこのことであった。すなわち,雇用の場がつくり出されたことにより地域住民の獲得労賃や地方自治体の法人税収入は増えたものの,誘致企業の工場は部品製造や組立工程を担うのみであり,最終製品を販売することによって実現する付加価値の大部分は何ら地方には帰属しないという実態は,現在でも変わりはない。移出産業たる企業の誘致に成功した地域が,地域としての所得向上を果たしえたことと,自律的経済発展に至るか否かとはまったく別問題なのである。

 肝心なことは,経済発展の原動力たるイノベーション (技術革新) がどの経済主体に帰属するのか,またそのイノベーション主体がいかなる本源的生産要素(土地,貨幣,労働力) を用いて商品を生産するのか,そしてもたらされた便益が誰に帰すのか (価値分配問題)という根本的課題を十分に吟味しなければ,地域経済の発展を期した企業誘致は,ともすれば単なる安価な労働力と土地の提供に終わってしまうということである。
 別けても,イノベーションがどのような目的でなされるかによって,その性格は大きく異なってくるだろう。地域の部外者にそれを求めるのではなく,地域の内部から地域経済発展のためのイノベーションを起こしていく。それこそが内生的経済発展のキモである。

 ただし,すべてを地域内で賄うことは現実的ではないし,そもそも外部と遮断された地域をつくり上げることは幻想にすぎない。地域外の経済主体とも連携・交流しつつ,地域内にとって有益なイノベーションを起こし,かつそこから得られる便益をいかに地域内経済活動に再投資していくかが重要である。そのためには,外部と積極的に交流し,さらには地域外の人材を積極的に地域に招き入れ,イノベーション創発の取り組みに巻き込んでいく人口流動のシステムづくりが地域に求められているのである。

 イノベーション創発は決して製造業の現場にのみ宿っているのではない。広い意味でのイノベーションは,技術革新であると同時に,経営革新や生活・社会革新,人材革新等々を含むものである。地域経済・社会のありとあらゆるところにイノベーションの萌芽が宿るのであり,活用しうる資源が眠っているという確信に目覚めることが重要なのである。



人口流動の地方再生学人口流動の地方再生学
(2009/06/16)
松谷 明彦

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